東京・上野の国立西洋美術館で開かれているモネ展が大盛況だ。昨年10月に開幕し、入場者数は現時点で70万人を突破。従来の中高年を中心とした西洋美術ファン層だけでなく、若者の心もつかんでいるようだ。なぜモネはこんなに人気なのか。
1月下旬の平日。一般2300円のチケットをウェブ購入して美術館を訪れると、門の外まで入場を待つ長い列ができていた。最後尾には「待ち時間100分」の看板が。「平日でこれ⁉」「なめてた……」と驚く声があちこちで聞こえる。
やっと入った館内も、絵の前に人垣ができるほどの混み具合だ。しかし不思議と展示室は穏やかな空気に包まれていて、近寄って細部まで目をこらす人、離れた場所から眺める人、ソファに座ってぼーっと見る人……と、思い思いの楽しみ方をしていた。
「睡蓮」20点以上、過去最大規模
この「モネ 睡蓮(すいれん)のとき」展は、印象派を代表する画家、クロード・モネ(1840~1926)の晩年に焦点をあてた展覧会だ。マルモッタン・モネ美術館(パリ)から来た日本初公開作品を含む約50点に、日本国内にある作品を加えた計64点が並ぶ。「睡蓮」の作品が20点以上集うのは、日本では過去最大の規模だという。
事前の注目度も高く、開幕直後から行列ができる人気ぶりだった。当初は日時指定制ではなかったが、12月下旬から土日祝日が、2月からは平日を含む全日程が日時指定制になった。
展覧会を担当した国立西洋美術館の山枡(やまます)あおい研究員は「モネ展は人が入って当然で、逆に言えば『人が入らないと困る』という認識ではあったが、想定を超えるお客様に来ていただいている」と話す。今回初めて国立西洋美術館を訪れた人が多く、「普段よりも若い世代が多い印象」と山枡さん。
不動の集客力 背景にある「親和性」
モネの展覧会はこれまでも頻…